ひとりでできる降圧薬の使い方

医学総論

はじめに

この記事を読んで、降圧薬の管理が一人でもできるようになりましょう⭐️

4大使用薬

4大降圧薬

  • Ca拮抗薬
  • ARB・ACE阻害薬(→ARNI)
  • β遮断薬
  • 利尿剤(サイアザイド系)
  • (αブロッカー)

ちなみに以下使用量は目安、慎重に使いたい場合は半量から導入しましょう。

導入前の検査

降圧薬導入前の検査

  • 採血(肝機能、腎機能、K、BNP)
    二次性高血圧の項目もできれば
  • 尿検査(尿蛋白も)
  • 胸部レントゲン
  • 心電図
  • (心エコー、甲状腺ホルモン)

採血は必ずチェックしてください。

実際の使い方

降圧効果が高いのはCa拮抗薬とARB(かARNI)です。なのでしっかり降圧管理をしたい場合、私はこの2つの内服を中心に組み立てていきます。

この2つの内服が使用できれば十分です笑。2つ入れても管理に難渋するようであれば専門的な降圧調整、並びに二次性高血圧の検索が必要になるので専門医にぶん投げましょう。

Ca拮抗薬

腎機能での容量調整が不要であり、肝機能が落ちていれば容量調整が必要、、、、とはなりますが、実臨床で問題となる程肝機能が落ちている人にはほぼ出会わないはず。非常に使いやすい薬です。

実際に使う内服はアムロジン(ノルバスク)とニフェジピンCR(アダラートCR)さえ覚えておけば十分でしょう。1日1回なのも使いやすいポイントですね。

降圧効果、即効性はニフェジピンに群杯があがります。

Ca拮抗薬

  • ニフェジピンCR
    →20mgから開始
  • アムロジン
    →5mgから開始

※注意点
血管性浮腫に注意

ARB・ACE阻害薬(→ARNI)

降圧効果はACE阻害薬(ACEi)よりARBの方が強いです。ARNI>ARB>ACE阻害薬の順番。ちなみにACEiとARBの併用は禁忌です。

ちなみにARNIはサクビトリルとバルサルタン(ARB)の合剤であり、心不全(HFrEF)でよく使用される内服ですね。降圧薬としてもかなり強力な内服です。

ACEiをわざわざ降圧で使いたい状況はほぼないです。なので覚えるのはARBのみで十分。

使用薬はテルミサルタン、バルサルタンを覚えておけば十分でしょう。最強のARBはアジルサルタン(アジルバ)という内服ですが、テルミサルタン、バルサルタンを推したい理由があります。

テルミサルタンは合剤が多いことがメリットなので錠剤を減らしてコンプライアンス向上が狙いやすいです。バルサルタンはARNI(エンレスト;サクビトリル・バルサルタン)の片方なので、ARNIへの変更がしやすいことが挙げられます。

副作用として腎機能障害や高カリウム血症があるのでCKDだと敬遠する人がいるかもしれませんが、むしろCKDがある人ほど腎保護作用があるのでARB/ACEiを使用するべきです。そして腎機能は多少悪くなっても使用を続けて大丈夫(Cre比で30%までなら許容、むしろ使い続けた方が腎保護作用が期待できる)です。詳しくはガイドラインでも見て下さい。

ちなみに教科書通りに使うなら両側腎動脈狭窄による高血圧では禁忌に値します、、、、ですが実臨床で全例腎血管エコーができるかと言うと厳しいです。

実臨床では「ARB使ってこんなに腎機能悪くなっちゃった、、、、」って時に腎動脈をチェックすることになるでしょうね。患者さんに導入する際「副作用が出る場合があるので、気分悪くなったら病院に来てくださいね〜」って声かけも重要。

ARB

  • テルミサルタン
    →40mgから開始
  • バルサルタン
    →40mgから開始
    不十分なら
    エンレスト100mg(1日1回)へ変更

※注意点

導入前後の腎機能、電解質Kについては確認
→腎機能は多少増悪してもOK
(Creが30%までの上昇なら許容する)

妊娠可能性がある場合、他の内服で代替

β遮断薬

降圧薬として初手で使うことはないですね、、、、、。ご存知の通り、βブロッカーは陰性変力作用があるので使用前に心エコーやBNPをチェックするべきです。しかもARBやCa拮抗薬に降圧効果として劣るので、やはり使うことはないでしょう。使用するとしたら心疾患持ち(HFrEFや虚血性心疾患)だけでいいと思います。

循環器内科以外使わなくていいんじゃないですかね笑。なのであえて使用量は書きません。

利尿剤(サイアザイド系)

使うとしたらフルイトランですね。これも降圧効果はそこそこ、、、、なんですが結局利尿剤なので電解質異常(低カリウム、低ナトリウム)や脱水、高尿酸血症などの副作用が多く、これも使いにくい内服だと思います。第一選択ではないですし、Ca拮抗薬、ARBを使っても降圧が得られなければ専門医に紹介した方がいいでしょう。

サイアザイド系

トリクロルメチアジド(フルイトラン)
→1mgから開始

※注意点

電解質異常、高尿酸血症
急性腎障害(脱水)

導入の実例

※外来では毎回必ず「何か調子が悪いとか変だな、と思ったら早めに連絡するか来院してくださいね」と伝えること

case1

45歳男性

検診で高血圧(155/80)が指摘された。頭痛など他の症状を認めない。

①1週間後か2週間後に来院可能な場合

→まず採血など検査
結果を見てから後日ARBかCa拮抗薬を開始
その間血圧手帳をつけてもらう

②来院できるが1か月後
またはすぐに薬がほしい場合

→採血とってCa拮抗薬を処方して
後日フォロー+血圧手帳を渡す

内服開始しても
血圧下がらなければ早めに来院を指示

基本この程度の血圧ですぐ降圧しなければいけないことはありません。頻回フォローができる人であればベースの採血の結果を見てから内服を開始するで大丈夫でしょう。

ARBを始めても99%大丈夫だと思うのですが、、、、カリウム値と腎機能はあらかじめ確認したいです。なので患者のデータがなくても降圧薬を開始したい場合、Ca拮抗薬一択だと思います。

case 2

56歳女性

検診で高血圧が指摘され来院、なんとBP183/80!!

数年前から血圧はこんなもんで、症状はないという。

→採血など検査して同日Ca拮抗薬開始
できるだけ早めにフォロー(1-2週間以内がいい)

いくら無症状でも収縮期血圧が180以上だとさすがに心配。

症状がなければ同日からCa拮抗薬開始、採血はもちろんとっておきましょう。

まぁ個人的にはなんで今年に限って来ようと思ったのか(数年指摘はされ続けてきたはずなのに)ってところを深掘りしたいですね。「実は最近頭が痛くて、、、」とか言われれば当然頭部CTなど含め高血圧緊急症、切迫症の検査も必要です。

case 3

37歳男性

主訴高血圧で来院

数日前から息が苦しい、頭がぼーっとするなど症状あり

→即日入院を検討
高血圧緊急症の検査も同時並行で

高血圧+症状ありで来た場合は高血圧緊急症や切迫症に準じて即日入院前提で話を進めてください。フォローがどうとか言ってられません。

「頭がぼーっとする」程度の症状は微妙なところですが、、、何かしらの症状がある場合は一度精査をすべきかと。

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